目次

 

◆OAV「戦国奇譚 妖刀伝」

◆OAV「戦国奇譚 妖刀伝 劇場版」

◆サントラCD

◆久遠の章のCDドラマ

 

◆主な登場人物

香澄綾女(綾之介):戸田恵子

疾風左近     :井上和彦

不動龍馬      :渡部猛

 

◆山崎理監督のコメント(参考)

時系列年表

 

 


◆「戦国奇譚 妖刀伝」とは◆

(1987~1988年)

 三振りの妖刀を持つ影忍三人と、魔人織田信長との

闘いを描く戦国伝奇OAV。

全三話と短いながらも、

会話のやりとりに深い人物設定や人間関係を伺わせ、

歴史フィクションとはいえ、史実や忍びという存在を

よく考証されていて、

妄想尽きない非常に魅力的な作品です。

概要は wiki を。

 

 


◆「戦国奇譚 妖刀伝 劇場版」◆

 

1989年に公開された劇場版は、全三話をただまとめただけではなく、

細かい動きの追加、新規追加場面、ナレーションの挿入によって、

全体を通して綾之介の独白語りの様なまとめ方になっています。

 

声も撮りなおしているので、何度も見直しながら三巻との比較も楽しめます。


◆主な登場人物◆

香澄綾之介(綾女)

 

17歳。

香澄の里に御神刀として伝わる

小太刀を父から託された。

里は陣内に襲われ壊滅。

兄の遺言に従い、

日向、葉隠の里に走る。

 

仇討ちのため女を捨て、

男の装いに身を包み宿敵・信長を

討つため戦いに身を投じる。

激情家で身を顧みず戦う姿は、

若くて経験値が浅いせいもあるが、危うくて刹那的である。

 

綾之介の時は、背負う宿命からか、いつも眉目を寄せており厳しい表情が多い。

誠実で生真面目。優しく、情感が豊かな、絵に描いたような好青年。

 

胸のふくらみ、あらわな太もも、視聴者にはどう見ても女なのだが…

衣装で肩幅・手など女だと分かる部分を上手く隠しており、

他人にはばれていない。

(左近とはしばらく一緒に旅をしていたから、ばれたのか?)

 

本来の綾女は前髪をあげた相当な美女。

幼い頃から一緒だった兄を慕っており、泣き虫。

本編でもよく泣いている。

 

・疾風左近(はやてのさこん)

 

日向忍軍ただひとりの生き残り。

綾女と同じく妖刀を所持している。

太刀だが、流線形の部位を持つ

怪しき獲物。

 

日向夢想流の剣の達人。

大木を一撃で胴斬りしたり縦割りするなど

斬撃の威力はもの凄い。

勘も鋭く常人離れしており、

目をつむっていても手裏剣を避けられる。

 

登場時は、

着流しに肩衣という武士の服装。

永ふせ山で何故か山賊の頭を張っていた。

 

 

孤高で他人に無関心、感情をはさまず

真実を見抜く冷静さを持つ。

 

…は表の顔で、

情け深く、

生かすための戦いならいくらでも命をかけてよい

と語った言葉が本心であろう。

 

伊賀の里と命運をともにしようとする陣平や

香澄の里の仇討ちに女を捨てた綾女に

共感を抱けず、理性と感情の間で苦悩する。

 

里が全滅した際は現場にいなかったふしがあり

本人も最後まで語らなかったことから

もともと何らかの理由で里から一線置いた

孤独な人だったのではないか…と思われる

 

こぐれ龍馬(不動龍馬)

 

※他記事・人物紹介では不動と記載。

 

OAVでの自己紹介では「こぐれ」と名乗っている

ため、不動は二つ名であろう。

 

葉ケ隠一番隊隊長、父親は統領のこぐれ幻悠斎。

葉ケ隠の里は組織化されており、綾之介と左近の

驚きからみて、忍びの里としては大規模な戦闘集団であろう。

 

龍馬の獲物は槍。

戦国時代の忍びらしくその闘い方は武士そのもので

あり、戦闘力は影三流の中でも高い。

忍術や体術の名もあるのだろうが、作品中では

紹介されなかったのが残念。

 

里は朧衆・陣内により、要塞ごと壊滅。生き残った者もいたようだが、最終回では、生き残ったのは三人

との蘭丸の言葉から、結局龍馬ひとりになってしまったのだろう。

 

妹・桔梗への未練が断ち難く、強者でありながら心根はどこまでも優しい。

伊賀の里では佳代に不器用ながら淡い恋心を抱いていたが…

生真面目な二人と対照的に、陽気でおおらかな人物。

妖刀伝に従い、使命を全うしようとする。

 

 

 

 


◆山崎理監督のコメント(アニメ誌ニュータイプより抜粋)◆

 

8年も前から私がやりたいと思ってきた作品が、この「妖刀伝」という

OVAの形で完結を迎えられたことは、

なんだかすごく感動的なことのような気がします。

 

彼女たち3人はこの「炎情の章」で

それぞれの思いのために戦い、

その思いのために傷つき、そして倒れていきます。

 

その思いが正しかったのか?

それとも間違っていたのか?

それは見てくださった人それぞれが考えてくださればよいとして、

ただひとつだけ伝えたいことは、

 

すべての人がみずから行動するときに

100%の自信を持って動いているわけではないのだということ。

そしてその正答はすべての結果が出たときでなければわからないということです…。

 

偉そうに御託を並べる奴より、仮に間違っていても自分の信じた思いのために必死になれる奴のほうが恰好よいし、人の気持ちを引き付けることができるのでは、ということです。

 

このほかにも人の運命、歴史なんかについても言いたかったことがかなりあったはずなのですが、それはこの作品を見て皆さんがどんなことを感じてくださるかが大事なんだと思っています。

 


時系列年表 (すべて陰暦)

(注意:当サイト管理人によるOAVとドラマCDの耳コピ) 

 

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■天正八年 南の空にほうき星現る
・三月 信濃 香澄の里全滅

・四月 加賀 日向の里壊滅

・七月 綾之介、日向の里に至る

・八月 石山本願寺焼失
綾之介、長ふせ山(飛騨の高山)に至る
左近と綾之介が出会い道連れに。
まもなく美濃 葉々塊の里に至る

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■天正九年 
・春 風魔忍び尾張にて朧衆に討たれる
・四月 天正伊賀の乱(二次)
佳代と龍馬出会う。
左近、離脱。

・五月 伊賀国ほぼ制圧される

・七月? 綾之介と龍馬、高野山へ
      妖刀伝を良庵から伝え聞く
 綾之介、左近が行を積む飛騨に走る 

・九月 柏原城開城、天正伊賀の乱終わる

・?月  綾之介、吹雪の日に左近の元から去る? 

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■天正十年 
・六月 本能寺の変
左近、蓬莱堂から動かず。五日後に
安土城にて魔神信長と戦闘
龍馬、壮絶な最期を遂げる。

左近、重症、そして…。
     
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■文禄五年(安土戦より約十年後)
・十一月 綾之介27歳?

    吹雪の日に平戸貞行を討つ。
    このとき爪傷を負う。

    左近は幽玄の存在となっており、    

    ひとり旅を続ける綾女の傍に寄り添う。

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■慶長五年(安土戦より約十八年後)
・九月  関ケ原の合戦
   綾之介は歴史の裏舞台から姿を消している。
   ナレーションに

  「関ケ原の合戦に影の姿なく」とある。

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